弊社の代表が中国駐在時に手掛けたメールマガジン『中国経済最前線−特集ニュース版−』のバックナンバーです。
今でも十分に必見の価値があると思いますので、一部を掲載致しました。当時は、《まぐまぐ》などでの発行部数が3,000部を超えるメルマガとして一応は多数の方々からご支持頂いておりました。
当初は、まだまだ続ける予定でしたが、メルマガを発行し始めて間もなく帰国することとなり、その後は発行しておりませんでしたが、今後はTwitterにて情報発信していく予定です。既にTwitter名「cjtsurvey」にて始めました。ご興味ある方はフォローして頂ければ幸いです。
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●● 中国でフランチャイズ事業は成功するか?●●
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◆中国のフランチャイズ事業
98年末、上海で「第1回国際特許経営(フランチャイズ)研討・展示会」
が開催された。意外な成功に主催者側は笑みを隠さず、「中国でも既にフラン
チャイズ熱が起きている」という。今回の展示会には国内外で三十数社のフラ
ンチャイザーが出展し、中国各地の経営者など約5,800名が参加した。
出展企業の1つである、米サンドイッチ・チェーン大手の「Subway」は開幕直
後の半日で1,000部の資料を配り終えたという。また、参加した経営者の
約80%はフランチャイズ加盟に意欲を示したという。これに気をよくした主
催者側は、来年の同時期に北京で「第2回国際特許経営研討・展示会」を開催
すると発表している。
近年来、ケンタッキー、マクドナルドなど世界的に著名なチェーン店が続々と
中国市場に参入してきているが、その殆どは直営店方式で、独立経営のフラン
チャイズ(FC)加盟店を募集する方式はまだ少ない。そのため、中国ではF
Cに対する認知度が極めて低い状態。フランチャイズの認知度を高めるため、
今回出展企業の1つである米国不動産仲介チェーン大手の中国側責任者は、
同社へFC加盟することで得る三つの大きな利点を力説した。
第一に、世界ブランドとして知名度の高いチェーン店に加盟すれば、独自に多
額の費用を掛けてブランドを構築する必要がない。第二に、全世界で25カ国
・地区に6,400店以上の加盟店を持つ同社に加盟することで、その地区で
の売買は全世界での売買に変身する。第三に、成熟した経営ノウハウを持つ同
社に加盟すれば、加盟店は道に迷うことなく、早期に事業化することが可能と
いう。
◆FC展開の問題点
出展企業の1つである「中国連鎖経営協会」は中国でフランチャイズ経営の発
展を阻害する要因は二つあると指摘している。第一に、中国企業は拡大する能
力が不足し、科学的・効率的な経営管理に対する理解力が欠落している。その
ため加盟店はいとも簡単にFC本部による管理体制を拒否し混乱を引き起こす。
第二に法的整備が遅れており、FC契約に対する法的な保護が難しい状況にあ
る。中国では97年に「商業特許経営(フランチャイズ)管理辧法(試行)」
が公布されているが、法律としては極端に未成熟。
今回出展企業の1つ「仙踪林」(中国式の喫茶店チェーン)では、上海市内で
11店のFC加盟店を展開しているが、中国でのフランチャイズ経営は非常に
難しいという。法制度が不完全なため、営業許可証の取得に多くの時間と費用
が必要で、さらに大多数の経営者はFCを全く理解していないという。同社は
加盟店のFCに対する認識不足が理由で、既に3店舗のFC契約を解消したと
いう。
既にフランチャイズの紹介・相談などを行う業者も存在しているが、展示会に
はそのうちの2社が出展した。1つは、前述の「中国連鎖経営協会」で、半官
半民の団体として設立され、主に企業に対して政策及び経営などに関するコン
サルタント業務と相関する活動などを展開している。
もう一つは「中国企業特許経営倶楽部」で、同社は主にFC本部と加盟店の仲
介業務を展開している。このように徐々にではあるがFCビジネスを支える環
境が整ってきている。
◆国有企業の意外な成功例「上海華聯超市」の秘訣とは?
中国で最も成功したフランチャイズの1つとして、上海系食品スーパーの「華
聯超市」が関係者の注目を集めている。同社は5年前にスーパーマーケット事
業に参入し、当初直営店6店からスタートしたが、現在は既に上海市内を中心
に全国で400店を有する巨大スーパー・チェーンにのし上がった。そのうち
の6割にあたる240店舗は、FC加盟店。昨年度の全国総店舗の売上は20
億元、純利益は3,000万元で、本年度の売上は32億元、純利益は6,8
00万元を見込むという。
この驚異的な飛躍について同社の総経理は、その秘訣を「厳格で科学的な管理
体制でもなく、強大な物流センターと電算化管理でもなく、また総経理自身の
気質と才能によるものでもない!」という。同社では過去3年間でFC展開に
力を注ぎ、同業他社で赤字に苦しむ国有商店などを中心に、次々と同社のFC
店に加盟させ、驚異的な拡大に結びつけた。驚くべきことに、その殆どの店舗
がFC加盟後、数ヶ月で赤字から黒字に転換している。加盟店は各四半期毎に
総売上を計算し、その総売上の2%をロイヤリティーとしてFC本部支払うだ
けで、直営店と全く同一の待遇が与えられる。その手軽さも3年で急速に加盟
店を増やしてきた要因の1つといえる。
「三角地超市公司」の総経理は、「華聯超市にFC加盟する前は、1日の平均
売上はわずか1万元にも満たなかったが、加盟後2ヶ月で売上は急上昇し、1
日平均で78万元に達した」という。さらに、同総経理は「従業員をFC加盟
前の半分に削減でき、管理体制は日に日に改善された。」と、その驚異的な
変化に驚愕しているという。この成功を目の当たりにして「北斗星超市」など
のスーパーも続々と華聯超市にFC加盟したという。
さらに、華聯超市のFC本部では、FC加盟店の従業員個々に対して、やる気
を起こさせる奨励制度にも余念がない。毎月、FC加盟店の店長会議を召集し、
各四半期毎に優秀店舗の店長を表彰している。97年度は、8名の店長が優秀
店長として表彰され、各加盟店のオーナーとは関係なく、FC本部から個人に
対して1,000〜2,000元のボーナスが支給された。また、これ以外で
も海外旅行や販売促進などの賞金制度も設けられている。
FC加盟店のオーナーに国有企業も多い中国では、FC本部の役割は、ノウハ
ウと経営管理手法の提供だけでなく、加盟店で働く店長や従業員個々への配慮
も必要である。そのため、同社の経営手法は中国で今後FC展開を行うための
重要な指針となる。冒頭の同社の総経理の発言にも納得いくのではないだろう
か?今後の中国のFCビジネスの発展に期待したい。
(完)
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